取協概況
創立の経緯
- 取次とは
- 取次会社とは出版社と小売書店の中間にあって、書籍・雑誌などの出版物を出版社から仕入れ、小売書店に卸売りする販売会社のことで、一口で言うと本の問屋のことです。日本中の出版社の本や雑誌は取次業者の倉庫にいったん集められ、そこから全国の書店に運ばれます。取次業者がいるおかげで各出版社は自分の手で運ばずにすみます。このシステムがあるためにベストセラーにならない少量の出版物も大量出版物と同一基準の運賃コストで全国の書店に配送されます。
- 戦後の混乱期と組合の設立の必要性
- 戦時中の出版物配給統制機関であった日本出版配給株式会社(日配)が昭和24年閉鎖機関に指定され、解散することになり、新たに出版物流通の社会的責務を果たすために、多くの出版取次会社が創立されました。このとき東京で4社、地方で5社の新会社がほぼ一斉に業務を開始したため、取引書店の獲得や出版社との取引をめぐる争いは、にわかにエスカレートし、業界に大きな混乱をもたらしました。
- 1950年(昭和25)1月には一部を除いて印刷用紙の統制が撤廃され用紙事情は好転しました。しかし、代金支払いの遅れや金融引締めによる深刻な資金難も重なり、取次各社は経営に支障をきたすまでになっていきました。
- このような事態のもとで、まず取次間で対策を講じるため各社間で話合いの場がもたれました。そして共通の問題の解決や、正常なる取引の確立のために、任意組合設立による協力体制がめざされることになりました。
- 懇和会から取次協会へ
- かかる経緯をへて1950年(昭和25)8月25日、参加会社29社の代表が集まり、設立会議を行いました。名称を「出版取次懇和会」とし、会員の懇親を図るとともに、業界の健全なる発展のため、取引の公正と改善、研究に最善を尽くすために、かつてない取次業者一丸の団体として発足しました。
- 多くの期待を担って誕生した取次懇和会でしたが、当初は相互の行き違いもあり取次各社の努力にも関わらず、なかなか状況の改善には至りませんでした。おびただしい返品は出版社に負担をかけ、取次も赤字に苦しむ状況をもたらしていきました。
- ここに業界整備が強調されるようになり、小売書店側も経営健全化に向けて堅実取引の方針に切り替えをする傾向が強まっていきました。こうした機運に乗じ取次各社も仕入の引き締めを行う一方で書店との取引に対して努力を重ね、情報交換を行いながら業界正常化への礎を築いていきました。
- その後も業界内外との連絡交渉に重要なる地位を占めるに至り、昭和28年に社団法人、次いで昭和31年5月社団法人「日本出版取次協会」と改称し、取次業界の代表的団体となりました。
- また、平成24年4月1日からは公益法人制度改革により「一般社団法人日本出版取次協会」となりました。
- 現在も取次各社共通の問題の解決にあたるとともに、出版物取次業の健全な発展と、出版物による文化的使命の達成を図り、業界の発展に寄与しています。